雪の中



「初雪ですね、先生」
「そうですね。 今日はもう終わりにして屯所に戻りましょうか」

神谷流の稽古をしていた総司とセイは、はらはらと降ってきた雪に稽古を中断した。

「はい。」と、セイは残念そうに答える。
2人きりの稽古が終わってしまう事に、寂しさを感じた。


総司は、そんなセイを見て、ふふっと笑った。
「あなたは稽古が好きですね。」

稽古がすきなんじゃなくて、先生とする稽古が好きなんだけど・・・
とセイは心の中でつぶやく。

「稽古好きですよ。 でも雪が降ってきちゃったらしょうがないです。 帰りましょう」
と諦めたように言い、セイは帰る支度をはじめる。

かじかみ始めた手に、はぁっと息を吹きかける。
「寒いですね。 汗かいちゃったから余計寒い・・」
セイはぶるっと震える。

その時、ふわっと総司の体がセイの体を包み込んだ。

「これで暖かいでしょ?」
セイは、突然の事に総司の腕の中で固まってしまった。

「私も好きですよ」
と言って、総司はセイを抱く腕の力を強めた。
ぎゅっと抱きしめられたセイは、真っ赤になっている。

『好きですよって・・・? 稽古の事? 稽古の事だよね?』

総司は、それ以上何も言わずセイを抱きしめている。
セイの心臓はどうしようもないくらいドキドキしている。

『先生どうしちゃったんだろ? 寒いのかな。  さっきから何も言わないし・・・ 
 この状況嬉しいけど緊張するんですけどー』

「・・・せんせぇ?」
セイは勇気を出して呼んでみる。


総司はばっとセイから離れると、
「さ、もう屯所に戻りましょうか」と言った。

すぐに顔を背けてしまったので、表情は分からない。
セイは急いで荷物をまとめて総司の隣に走っていく。
見上げた総司の顔は真っ赤になっていた。
それを見て、セイの顔も更に真っ赤になる。

いつものように手をつないで屯所に戻る2人だったが、その2人の間にある空気は、
いつもとは何だか違っていた。