闇 2
「セイ、もしかして体調悪い?」
授業中隣に座っていた里乃が心配そうに話しかけてきた。
1限目が終わった辺りから頭痛がするなとは思っていたのだが、それがだんだんひどくなってきた。
頭がガンガンしている。
「うん、何か頭痛くて・・」
「顔色悪いよ? もしかして風邪引いちゃったんじゃない?」
「そうなのかな・・。 この授業終わったら私3限目出ないで帰ろうかな・・・」
今日は夕方総司とデートの約束だったのだが、とても行けそうな感じではない。
今日は諦めて帰ろうかと思った。
「うん、そうした方が良いよ。 もし良かったら家まで送るよ?」
「ううん、大丈夫! 家までくらいなら1人で帰れるから。 ありがとう。」
笑おうとしたが、あまりのダルさに顔が引きつってしまった。
セイは何とか授業に集中しようとしていたが、頭痛はどんどんひどくなる。
体もとてもダルい。
セイはとうとう気を失ってしまった。
いつの間にか自分は高層ビルの屋上にいる。
柵を越えた所に立っており、少しでも動けば下に落ちそうだ。
セイは怖くなり柵の中に入ろうとした。
しかし足が動かない。
何かが掴まっている感覚がする。
恐る恐る足元をみる。
すると、髪の長い女が自分の足に捕まってぶら下がっている。
女はセイを見上げてニヤっと笑った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
その瞬間、女が自分の体を揺らし始めた。
その反動で、セイの足元が揺れる。
「あ・・・・ や・・・やめて・・・」
揺れがどんどん大きくなる。
セイは落ちないように必死に柵を掴む。
女はニヤニヤ笑いながらどんどん揺れを大きくしていく。
「っ! 離してぇっ!! ・・・・あっ!」
とうとうセイは耐え切れなくなり柵から手を離してしまった。
ガバッとセイは起き上がる。
「セイ! 気がついた?」
目の前には総司がいた。
「授業中倒れたんだって?」
心配そうな総司の顔。
周りを見渡すと、そこは大学の医務室だった。
「あ・・・ 私・・」
「まだ顔色悪いね。 大丈夫? 僕の家の方が近いから、取り合えずタクシーで僕の家に
帰ろう。 良くなれば家に帰れば良いから。」
セイはまだずきずきと痛む頭を抑えた。
今のは夢だったんだ。
総司が目の前にいる事に安心した。
「う・・ん、ありがとう。 ちょっと風邪引いたみたいで・・」
そう言って青い顔をして総司を見た時、総司の後ろに黒い影が見えた。
セイはギクっとして身を縮こませた。
「? セイ?」
総司の呼びかけにも答えず、セイはガタガタと震えだした。
「セイ、どうした? 大丈夫?」
影はゆらゆらと揺れながら、2人に近づいてくる。
「あ・・・ う、うしろ・・・」
セイは震える指で総司の後ろを指差す。
総司がその声に振り向く。
その瞬間、その影は消えた。
振り返った総司は、何もない事を確認してまたセイに向き直る。
「後ろがどうかした?」
セイは呆然としながらじっと影のあった場所を見ている。
セイの様子を見て、総司は心配になり携帯でタクシーを呼んだ。
「すぐタクシー来るって言ってるから、行こう。 荷物は僕が持つから。」
と言って、セイが立つのを支えた。
セイの肩に手を回すと、震えているのが分かる。
「家に帰ったらゆっくり話し聞くから。」
「・・・・うん」
セイは青い顔のまま下を向いたまま答える。
目には既に生気がなかった。