タイムスリップ 4」

「140年…」
「そうです。 なので、新撰組の人が今こうして生きている訳ないんです。 
もしかしてあなた、どっかの病院から出てきたとかですか?」
総司似の男は完全にセイを頭のおかしい人だと思い込んでいるようだ。

「そんな…」
セイはおろおろし、どうして良いか分からなくなった。
自分の今の状況が良く分からなくなってきた。

と、男はセイの指にはめている石に気づいた。

「あっ、それはっ」
「えっ?」

男がセイに近づきセイの手をとる。
「僕が捨てたリング…」
「あ、これあなたの物だったのですか? 林の中で見つけたんですよ。 
あまりにも綺麗なので思わず手にとってしまいました」

その男は更に不機嫌な顔になった。
「それ、もういらないものなのであなたにあげますよ」
と、ふいっとセイに背を向けた。

「え、良いんですか?」
「はい、どうぞあげますからもう出て行ってもらえますか?」

セイはどうして良いか分からなかった。
ここがどこかも分からない上、セイのいた時代が140年前だと言われた。
セイがオロオロと場に立ち尽くしていると、男は振り返った。

「はぁ〜っ 分かりましたよ。 どうして私ってこうお人よしなんでしょうね、こんな見ず知らずの変な人に構うなんて。    
どうぞおかけください。 今お茶出しますから。」
といってソファを指差した。

セイは初めてみるソファに恐る恐る腰掛けた。
「うわぁ ふかふか」
初めての感触にセイは感動した。
「まさか、ソファに座るの初めてとか言わないで下さいよ。」
「初めてです。 と言うか、ここにあるもの全て初めて見るものばかりです。」

男は、だんだん本当にこの清三郎と名乗る男が新撰組の隊士ではないかと思い始めていた。
それとも頭がおかしいかのどちらかだと思った。
でも、どこか他人のような気がしない。
それに、ある人にとても似ているのだ。