「タイムスリップ 5」
「はい、どうぞ」
と言って、男はセイに紅茶を出して自分も向かいのソファに座った。
「これは?」
セイは、またもや初めて見る飲み物を前にして、興味津々だった。
「紅茶ですよ。」
と、もうセイにいちいち突っ込むのも諦めて、紅茶を飲みながらタバコに火を点けた。
セイも、男に習って恐る恐る紅茶という飲み物を飲んでみる。
「あの‥ お名前お聞きしても良いですか?」
「佐伯颯太と言います。」男は淡々と答えた。
「佐伯颯太さん‥」
やはり総司とは全くの別人なのだと改めて思った。
「あなたのこと、もっと詳しく話してもらえます? せっかくだから、お話を最後まで聞きますよ」
セイは、はぁと小さくため息をついて、自分の事、新撰組の事についてぽつぽつと話始めた。
「先ほどもお話したとおり、私は新撰組1番隊に所属しています。 私はさっきまで黒谷に書状を届けに行っていて、帰りに林の中でこの石を見つけたのです。」
颯太は不思議そうな顔をした。
「林の中?」
「はい。 ぴかぴか光っていて、何だろうと思って手に取ったのです。 そうしたら気を失ってしまって。 気がついたらここにいました。」
「そのリングは、私が今朝この家から投げ捨てたのですよ。」
「この部屋から?」
「はい、もう私には必要のないものなので。」
セイは立ち上がって窓際へ行った。
「ここから外は見れますか?」
「もちろん」
と言って、颯太は窓を開けた。
外は真っ暗だったが、街灯でぼんやりと外が見えた。
セイにはこれもまた初めて見る光景だった。