「タイムスリップ22」
「うそ‥」
セイは、青くなりながら颯太のいた場所を見つめた。
状況が全く分かっていない瀬名は、訳が分からず1人でおろおろしている。
「なになに? 今の光は一体なんだったの? 颯ちゃんはどこ行っちゃったの??」
セイは、呆然としながら瀬名を振り返った。
「‥消えちゃいました」
「ここは一体どこ‥」
颯太は、ある和室の部屋の真ん中にいた。
さきほどまでいた自分の部屋とは全く違う場所に、颯太は頭が混乱していた。
しかも、一緒にいた瀬奈やセイもいない。
いくら思い起こしても、まぶしく光った後、どうやってここに来たのか分からない。
「も、もしかして、これってセイさんと同じ状況になっちゃったんじゃあ‥」
颯太は泣きそうになりながら、辺りを見回した。
と、手に何かを持っているのを感じた。
例の指輪だった。
指輪は既に光を放たなくなっている。
「これが原因・・・?」
何が何だか分からず、颯太は指輪を眺めた。
まさか、セイのように違う時代に来てしまったのか。
颯太の頭の中を不安がよぎる。
とにかくここがどこなのかを知ることから始めよう。
そう考えた颯太は、取り合えず部屋を出ようとした。
部屋を見渡すと、外に出られそうな障子と襖が目についた。
取り合えず、襖を開ければ何かがあるかも知れない。
と、颯太は立ち上がり取り合えず襖を開けてみる事にした。
颯太が襖に手をかけた瞬間、ばっと襖が開かれた。
「わぁぁぁぁぁぁっ!」
驚いた颯太は、その場に尻餅をついてしまった。
「ん? なんだ、お前は」
目の前に立っているのは、坊主でガタイがいい男だった。
「あっ、あのっ」
なんだかこの状況、セイが自分の家に来たときに似ているなぁと呑気に考えながら男を見上げた。
「あん? お前、沖田か?」
男は、颯太の顔をまじまじと見ながら尋ねてきた。
「沖田おめぇどっから入ったんだ?」
男は訝しげに尋ねてくる。
自分の事を沖田といっている。
まさか、セイがいた幕末に来てしまったのか。
そんな事あるはずがないっ! ・・・と思いたい。
「何て格好してやがるんだ。 なんだ、その着物は?」
そう言いながら、颯太の横にどかっと座り込んだ。
何を言えば良いのか分からず、颯太は男をただ見つめていた。
そんな事を気に留める風もなく、更に男は話を続ける。
「それはそうと‥ セイはまだ見つかんねぇのか。」
「セイ!?」
その言葉に、颯太は弾かれたように男に近寄った。
「な、なんでぇっ」
「セイってセイさんの事ですか!」
颯太は必死で尋ねた。
「何言ってやがる。 セイが消えちまって頭おかしくなったか?」
「あのっ! 私は沖田ではありません!」
「はぁ?」
「教えて下さい! もしかしてここは江戸時代でしょうか? 沖田というのは沖田総司の事ですか? セイというのは富永セイさんの事でしょうか!?」
あまりにも勢いよく尋ねてくる颯太に、男は圧倒された。
「言っても信じてもらえないかも知れませんが、ここが江戸時代だとしたら、多分私は未来から来ました。 私は沖田総司の生まれ変わりかも知れないんです!」
空気が固まったような気がした。
「‥お前‥」
男は、可哀相な人を見る目になった。
「わかった。 良いからそこに横になれ。 看てやる」
と、颯太を寝かせようとした。
「ち、違うんですよぅっ! 本当なんですっ」
男の手を振り払い、必死で訴えようとした。
「良いから横になれ、沖田。 セイが居なくなってからというもの、仕事も手につかねぇ状態だと土方からも聞いている。 夜も満足に寝てねぇんだろう。」
土方・・・
それを聞いた瞬間、やはり自分は江戸時代に来てしまったのだと確信した。
その時。
「ごめんくださーい。 松本法眼いらっしゃいますか? 沖田です。」
自分と同じ声がした。