沖田さん家 パート2




はじめにご忠告です。
こちらのお話は、完全な小話となっております。
読んだ後、もしくは読んでいる最中もしかしたら気分を害される可能性がございます。
それでも大丈夫!! という方のみお進みください。
読まれた後の苦情は、一切受け付けられません・・・





























「ただいま帰りました〜」
仕事から帰った総司は、玄関のドアを開けながら自宅へ帰ってきた。

すると、家の奥からドタドタと地を這うような足音が聞こえてくる。
「お帰りなさ〜い」

「はい、今日のお土産ですよ」
そう言うと、総司は両手いっぱいのケーキやシュークリームを妻であるセイに渡した。

「わーい♪ ありがとうございます! お食事出来てますよ」
セイはお土産を受け取った。

そして、体を重たそうにしながらセイはリビングに向かう。
総司もセイの後について家の中へ入っていった。







「聞いてくださいよ〜、総司さん。 今日体重計に乗ったら、ちょっと体重増えちゃったみたいなんですよ」
テーブルいっぱいに並べられた食事を頬張りながら、セイは寂しそうに総司を見ていった。
「本当ですか? そんな太ったように見えませんけど・・ 何キロになったんですか?」
「えぇ〜。。。 実は97キロになっちゃってぇ・・」
セイは恥ずかしそうにボソッと言う。
「先週聞いた時より2キロしか増えてないじゃないですか。 見た感じそんな太って見えないし、セイが太ってもやせてもセイはセイですからね。 私は気にしませんよ」
そういうと、セイを見てにっこり微笑んだ。
セイも、総司の顔を見て嬉しそうに微笑む。

「何だか総司さんにそう言われると、ほっとします。 安心したら食欲出ちゃった」
「セイの作るご飯はおいしいですからね。 沢山食べましょう」

2人に挟まれて、3歳の娘である鈴は、呆れた表情でぱくぱくと食事を口に運んだ。

「食後に総司さんが買ってきてくれたおやつ食べましょうね♪ どうしよう〜っ 幸せすぎて食欲とまんない」
「私もですよ、セイ! あなたが美味しそうに食べてる姿見るのが、私の1番の幸せなんですから」
「やだ〜、総司さんたらぁ(ハート)」


頭が痛くなってきた鈴は、箸を置き、そっとその場を立ち去った。









「あ〜〜〜っ!!」
総司がビールを飲みながら、大好きな野球中継を見ていると、寝室からセイの叫び声が聞こえた。
急いで寝室へ向かってみると、座り込んで泣いているセイがいる。

「セイどうしたんですか!?」
あわててセイに駆け寄る総司に、セイは涙を流しながら総司に抱きついた。

「この前買ったスカートが入らなくなっちゃったのぉ!!」
セイの腰元を見てみると、ホックが止まらないままのスカートを、セイがぎゅっと掴んでいる。
それは、先日セイと買い物へ行って、セイに買ってやったスカートだった。
LLのスカートを買ったのだが、太ったせいで入らなくなってしまったようだ。

「このスカートすっごく気に入ってたのに」
わんわん泣いているセイに、総司は優しく微笑んだ。
「スカートなんてまた買えば良いじゃないですか。 そんな事で泣かないで下さいよ」

「だって・・ せっかく総司さんが買ってくれたのに・・・」
「じゃあ今度の休みにまた買いに行きましょう。 その時には3Lのスカート買いましょうよ」
それを聞いたセイは、総司を見上げた。
「良いんですか?」
「もちろんです。 セイが欲しいのならいくらでも買ってあげますよ」
「総司さん大好きですっ!」
セイは嬉しそうに総司に抱きついた。
その勢いで、総司はその場に倒れた。

「うぅぅっ セ、セイ・・ 抱き疲れるのは嬉しいんですけど・・・ ちょっと・・・ く、苦し・・」
セイの下敷きになった総司は、窒息しそうになっている。
「えへへ〜♪ 総司さ〜ん」

抱き合っているのか、組み敷いているのか良く分からない状況を見て、鈴はまた呆れた表情で何も言わずその場をそっと立ち去った。





お風呂から総司があがり、寝室へ行ってみるとすでにセイはベッドに横になっていた。

「せ〜い♪」
総司はそっとベッドに入り、こちらに背を向けて寝ている妻を後ろから抱きしめた。
以前はぎゅっと抱きしめられていたはずのセイの体は、総司の長い腕でもすべて回らない程になってしまっている。

「お風呂上りのセイは、いつも以上に良い香りがしますね」
そういいながら、総司はセイの首筋に顔を埋め、うなじにキスをした。

「うぅ〜ん。。 総司さんくすぐったいです〜」
嬉しそうなセイの声が聞こえる。


それに気を良くした総司は、セイの胸をぎゅっと掴もうとした。


「・・・・ん?」

胸と思われた場所をこしょこしょと触ってみる。

「・・・あれ?」

「んもうっ 総司さんたら〜  どこ触ってるんですかぁ」
更に嬉しそうなセイの声も、総司は何だか耳に入らない。

胸と思われた場所は、よ〜くよ〜く触ってみると、何と腹だった。

3段腹にもならない程膨れている。

総司は、恐る恐るセイから手を離した。
その手は若干震えている。

セイから少し離れて改めてセイを見てみた。


何だろう、この感じ・・


セイの事は大好きだ。
誰よりも大切だし、この上なく愛おしい。

なのに・・・
そのはずなのに・・・




欲情しないっ!!




突然自分から離れた総司を、不振に思ったセイが振り返る。


その顔は、結婚した当時と変わらずあどけない可愛らしい顔。



顔の膨れ具合と二重あごを除けば・・・(涙)


「どうしたんですか? 総司さん」
そう不思議そうに尋ねてくるセイに、総司は何も答える事が出来ない。

「総司さん?」
セイは起き上がり、総司にぎゅっと抱きつきそのまま押し倒した。

「むぎゅっ」
先ほどと同じように、セイの下敷きになり苦しそうに総司が喘いでいる。

「うふふっ 今日は私が襲っちゃおっかな〜♪」

本当に襲われている感じになっている総司は、手足をバタつかせている。



死ぬ。
このままだと死ぬ。
セイ〜〜〜っ!!
お願いだからどいてください〜〜〜っ!!














「・・・・さん     ・・・総司さん」
自分を呼ぶ声が聞こえる。

そっと目を開けると、心配そうに自分を覗き込んでいるセイがいた。


「せ・・・い?」
額に汗を掻きながら、総司はセイを見上げた。

「はい、どうしたんですか? 随分うなされてましたよ?」
総司は急いで起き上がり、セイの姿をマジマジと見つめた。

目の前にいるセイは、どこからどう見ても結婚当時と変わらないスレンダーなセイだった。

総司は、セイの顔を両手でそっと掴んだ。

「セイ・・・ですよね?」
信じられないような顔でセイを見る総司に、セイは不思議そうに首を傾ける。

「何言ってるんですか? 寝てる間に頭でも打ちました?」

「セイだーっ! 良かったぁ! 夢だったんですねっ」
そう叫びながら、総司はセイをぎゅっと抱きしめた。
しっかりとセイの背中まで手が回る。

「ちょ、ちょっと何ですかいきなりっ」
「セイっ! 大好きですっ!」
「はぁ〜っ!?」
「太ったセイも好きですけど、やっぱり今のセイが好きです〜っ!」


バコッ


「いたっ」
突然頭を殴られた総司は、涙を浮かべてセイを見た。
「私が最近太ったの気にしてるの知っててそういう事言うんですかっ!!」
セイはほっぺを膨らませて怒っている。
「えーっ!! セイ太ったんですか!? それは大変ですっ! 今日からダイエットしなさいっ!」
「はっ!? 余計なお世話ですっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るセイの肩を総司は掴んだ。
「だめですっ! 絶対太ってはだめですっ! そうだっ 今日からジョギングしましょうっ!」

バシッ

セイは総司の手を振り払った。
「うるさいっ! さっさと会社行く用意しろーーっ!!!」

「そんなぁ〜、セイ〜っ」
情けない声を出して呼び止める総司の声を無視して、セイはドカドカと総司を置いて部屋から出ようとする。

「お願いです〜っ! 夢の続きを〜っ!」
「何ですか、続きって!(怒)」
「えっち・・」
「どあほっ!」

セイは、バタンと大きな音を立てて部屋のドアを閉めて出て行ってしまった。


総司は、しくしくとベッドに蹲って泣いている。


こうして今日も沖田さん家のいつもの1日が始まる。