「ひじかたさぁ〜ん…」

「なんだよ総司。さては…またカミさんに怒鳴られたのか?」

毎週金曜日に開かれる金曜会in居酒屋。

総司は店に入るやいなや、いきなり土方に泣きついた。

「違いますよぉ〜(泣)怒鳴られた方が幾分ましですってばぁ〉〈」

何があったかも話さずにわんわん泣き続ける総司に、土方はイライラしていた。

そこに助け船を出したのが平助。

「セイちゃんと何かあったの?」

優しく諭すように話しかける平助に、総司もポツリポツリと口を開き始める。

「…ここに来る前、いつものようにセイに甘えてたんです…

『セ〜イ〜今日もかわいくて柔らかくていい匂いしますね〜v』
と言いながらソファーに座ってカタログを見ているセイに後ろから抱きついて首筋に唇を落とす。

いつもならここで
@『やめて下さい総司さん…まだ鈴だって起きてますよ…』とやんわり断られ、夜に持ち越し。

A『何してんですか、総司さん。そんなことをしている暇があったら、さっさと出かける準備して下さい。』と冷たく拒絶。

の二択になるのに…(98%A番)
今日は…

B無視

読んでいたカタログを持って寝室へ行ってしまったのだ。
いつもならどんなに冷たくても、少なからず相手をしてくれたのに…
総司は悲しくて仕方がなかったのだ。
そのまま泣くのを我慢し、家を出た。
いつものセイの見送りも無しに…


セイが無視したくなる気持ちがわかりつつも、目の前で「セイ〜〜」と泣いている男を励ますために話を聞くしかあるまい。
ここにいる全員が諦めた。


「総司がなんかしでかしたんじゃないの〜?」

「何もしてませんよ!!あのキャバクラの件でセイの本当の恐ろしさを知ったんですから!!怒らせるようなことはしてません!!!」

「例えばよぉ、結婚記念日を忘れたり誕生日を忘れたり…」

「そんなことありません!!結婚記念日は11月23日(いい夫妻の日)です!
初めてデートした日は7月25日です!
セイから初めてデートに誘われた日は12月3日です!
初めてチューしたのは9月30日です!
初めて結ばれたのは8が…「「言わんでいい!!!」」

「そこまで覚えている総司が恐いよ…(汗)」

みんながうなずく。
それどころでない総司。

「とにかくセイちゃんに聞いてみなきゃ始まらないんじゃない?」

「こんなところで飲んでねぇで帰ったほうがイイんじゃねぇか?」

総司のことも心配だ。けれど今日は花の金曜日。みんなでワイワイやるには総司は邪魔なわけで…
どうにかして総司を家に返そうと必死だった。


「…分かりました…今日は帰ります。迷惑かけてすみませんでした…」


背中に哀愁を漂わせ、総司は店を出て行った。



『『『やっと帰った…』』』
みんなはようやく酒を飲み始めたのだった。














「セイ、ただいま帰りましたぁ…」


しん…

応答なし。


キッチンの方へ行ってみると、セイは鈴と一緒にスパゲッティを茹でていた。

「あっパパ―お帰りなさい!」

「だだいま、鈴。セィ…「鈴、そろそろお皿用意して」

「は〜い!!」


さ…遮られた

挨拶さえ言わせてくれなかった…




そしてさらに総司にとって追い討ちだったのが...




「わ…私のだけカルボナーラなんですか?」







お皿はセイと鈴のと同じだが、総司はカルボナーラ、セイと鈴はミートソースだった。


一口食べてみると

…冷たい

さっき茹でていたのにもう冷たいなんて…

もしやと思いゴミ箱を見てみると、コンビニで売っているカルボナーラのゴミが入っていた。

そう。総司のだけコンビニで買ってきたものだったのだ。

温めてもくれないなんて…
「いいなー!鈴もカルロラーラ(カルボナーラ)食べたい!」


「鈴、人の物は欲しがっちゃダメでしょ。冷たいスパゲッティなんて美味しくないのよ」


その冷たくて美味しくないスパゲッティを出したのはセイでしょ!!
と抗議もしたくなったが、できるはずもなく、黙々と食べ続けた。







IN寝室。

鈴を寝かしつけ、戻ってきたセイに総司はホッとした。

この前(キャバクラの時) は寂しかったですからねぇ…

やっとの思いでセイに話しかけた。
「セイ、まずは謝ります。でも訳を聞かせて下さい。」


一刻も早く仲直りしたい。そう思って発した言葉だった。


「……笑いませんか?」


「もちろんですよ」


セイは顔を真っ赤に染めて小さい声で話した。


「昼間、紗江さんという方から同級会のお誘いで電話がかかってきたんです。」

紗江は総司の高校のときの同級生だ。剣道部のマネージャーで、剣道部だった総司は何かとお世話になった人だった。

「紗江さんは総司さんのことが好きで、剣道部のマネージャーをやっていたと言っていました。
剣道をやっている総司さんは格別格好よくて、他校からも人気があるので、彼女がいつできるのか気がきじゃなかったそうです。」


「はぁ…それで?」

総司はセイが何を言いたいのか分からなかった。


「差し入れは特にウサギのリンゴが好きだったと聞きました。」


「…あぁ、そんな事もありましたね」


その当時を思い出してつい笑ってしまう。


「…そんな事、一度も言ってくれなかったじゃないですか!!」


いきなり怒鳴られてビックリした。


「リンゴを切る時に言ってくれなかったじゃないですか!!」


「……まさかそんな事…?」

私がウサギのリンゴが好きだと言わなかっただけで……そんなどうでもいいことにこの数時間悩まされてたんですか…?

しかも今さら…結婚して何年だと思ってるんですかぁ!!


「そんな事で悪かったですね!総司さんたら言わないんですもん。結婚するときにどんな些細なことでも話すと約束したじゃないですか!!私の知らないことを紗江さんは知っていて…ちょっと悔しかっただけです」


そんな昔の、しかもマネージャーに焼きもちをやいてくれるなんて・・・かわいいんですからぁ〜(でれっ)

けれどその焼きもちが嫌がらせや無視といった方向へ屈折するのはいただけないですねぇ…。


「でも、それを言うならセイだって鈴を妊娠した時長い間言わなかったじゃないですかぁ!!」


「普通は気がつくものですよ!!」


………


沖田総司2x歳

今、脳みそをフル活用して計算中…







☆ピコリーン☆



「…じゃあ賭けましょう」


「…はぁ!?」


「今度子供が出来たら鈴の時よりも早く気付いてみせます!」


「待て待て待て待て。」


「だから、今夜から子作り、頑張りましょうね☆」



「ちょっ…総司さん、どこに手ぇ入れてるんですか!
変た〜い!!」


「これは神聖な儀式ですよ!静かになさい」


そういうと総司はセイの口を塞いだ。



雨降って地固まる。
まさにこのことですねv
セイの焼きもち姿も見れたし、いい方向へ持っていけましたしね☆


こうして沖田家の夜は甘く甘く?過ぎていった。




数ヵ月後、毎夜の子作りの甲斐があり、セイは妊娠した。しかし、やはり総司はセイの妊娠に気付かず、
鈴に先に言われてしまうのであった。

沖田さん家 (夏恵さまバージョン)