虹 7



「うわ〜、高いっ!」
総司とセイが乗った観覧車は、もうすぐてっぺんに来ようとしている。
「暗かったら、夜景が奇麗だったんでしょうね」
総司も嬉しそうに外を見ていた。

「そう言えば、総司さんはデートとかするときはどういう所に行ってるんですか?」
観光名所をほとんど知らない総司に、セイは疑問に思って訪ねてみた。
「え? デートですか?」
「はい♪ 彼女とかと一緒に遊びに行ったりするでしょ?」
「彼女なんていませんよ?」
事も無げに言う総司に、セイは少し驚いた。
「本当ですか? 総司さん優しいし面白いしモテそうなのにな」
「えー、全然モテませんよ。 それに、私も今までにそんな風に思った女性もいませんし」
セイは、総司の言葉を聞いて、ぷっと吹き出した。
「何で笑うんですよう」
「いえ、何でもありません」
きっと、総司はモテるだろうとセイは思った。
ただ、本人が気づいていないだけで。

「じゃあ総司さんの初デートが今日なんですね」
「あ、そうなりますかね」
2人はにっこり微笑み合った。
「観覧車が終わったら、ジョイポリスに行きたいですっ! そこのアイスがすっごく美味しいって聞いた事があるので、1度食べてみたかったんです」
「アイスですか!! 私も食べたいですっ!」
総司の頭の中は、もうアイスの事でいっぱいになった。
そんな幸せそうな総司の顔を見て、セイも嬉しくなった。







「あ〜、今日は本当に楽しかったですね〜」
お台場を十分堪能したセイは、伸びをしながら駅に向かって歩いていた。
「楽しんでもらえて良かったです」
「総司さん、アイス7個も食べるんですもん。 お腹壊しませんか?」
セイは心配そうに、総司のお腹を覗き込んだ。
「あれくらいじゃ全然大丈夫ですよ〜。 本当はもっと食べたかったんですけど、セイちゃんに叱られたから・・」
セイは、1つ食べきるとすぐまた次の味のアイスを頼んでいく総司に、あまりにもびっくりして開いた口が塞がらなかった。
そして、周りの目がとても痛かった。
「全部の味を制覇しようとおもったんですけどねー」
「無茶言わないで下さい」
「え〜・・ セイちゃんひどいですよぅ」
そういう総司の両手には、セイが買ったものが下げられている。
「それにしても買い込みましたねぇ。 こんなに買ってどうするんですか?」
「来週アメリカに帰ったら向こうの友達とかに渡そうと思って。 もうお別れになるし」
淋しそうに微笑むセイを、総司は心配そうに見た。
「やっぱり淋しいですか?」
「だって、もう何年も住んでましたし・・・ 日本の方が好きだけど、向こうの友達も大好きだったから、会えなくなるのは淋しいですね」
「そうですよね・・」
総司まで悲しそうに下を向いたのを見て、セイは思わず顔が綻んだ。
「どうして総司さんが悲しそうな顔するんですかっ!」
「だって、セイちゃんが落ち込んでると私まで悲しくなってくるんですもん」
「えー、じゃあそうそう落ち込めないですね」

どちらからともなく、手を取り合って歩き出した。













「おい、お前ら・・・」
歳三は、怒りに声を震わせた。
仕事から帰ってきた歳三の目に入ったのは、総司とセイが仲良く手を繋ぎあってリビングのソファに寝入っている姿だった。

「総司っ! 起きろテメー!!」
総司の頭をボカっと殴った。
が、よほど疲れているのか全く起きる気配がない。
しかも良い夢でも見ているのか、ニヤニヤと笑っている。

「ちっ 人が仕事で疲れて帰って来たっつーのに、こいつらはっ! つーか、手を離せっ!」
もしこの2人がよからぬ関係になろうものなら、セイの両親に顔向けが出来ない。

最後に総司の腹を1度蹴ると、歳三はイライラしながら夕食を作り始めた。