虹 6
「受検も終わった事だし、来週アメリカに戻るまで暇になっちゃったなぁ〜」
3人は、セイの作った朝ごはんを食べていた。
朝ごはんと言っても、アメリカ育ちのセイは和食ではない。
手作りのロールパンに手作りのいちごジャム、それにシリアルとルッコラのサラダ、そしてスープと紅茶が出された。
最初、歳三は「日本人は朝は味噌汁とご飯だっ!!」と言っていたのだが、セイに「じゃあ食べなくて良いよ」と一言で終わらされ、最近は大人しく食べるようになった。
「じゃあ私と一緒に遊びに行きますか? どうせ春休みで暇だし」
総司は、いちごジャムをたっぷり塗ったパンを頬張りながら嬉しそうに言った。
「わぁっ 本当ですか? 私、お台場とか六本木ヒルズとか行ってみたいんですけど! 向こうのTVでもやっていて、1度行ってみたいなって思ってたんです」
セイは、目をキラキラ輝かせた。
「あ・・・ お台場・・ すみません、私そういう今時な所行った事がなくて・・ 行っても案内とか出来ませんけど大丈夫ですか?」
申し訳なさそうに言う総司に、セイはにっこり微笑んだ。
「はいっ 2人共知らないほうが私も気兼ねなく楽しめます」
「じゃあ今日はセイちゃんの行きたい所ツアーにしましょう」
今日も明日も仕事の歳三は、米神に怒りマークをつけながら、2人の会話を黙って聞いている。
「じゃあ食べ終わったら用意してお出かけしましょうね」
「わーい♪」
ドンっと大きな音を立ててカップを置いた歳三に、2人はびっくりして歳三を見た。
「どうしたんですか? 歳三さん?」
「そうだよ〜、朝から何そんな機嫌悪そうな顔してんの?」
「・・・お気楽な学生には俺の気持ちなんか分かんねーよ」
不機嫌そうにボソッとつぶやいた歳三に、2人は顔を見合わせて笑った。
「きゃははははっ トシって相変わらず面白い〜」
歳三をバシバシ叩きながら笑うセイを、敏三はキッと睨んだ。
「触んなっ」
「じゃあ、何かお土産買って来るからね! 楽しみにしててね」
「いらんっ!」
「送ってくれてありがと〜」
「では行ってきますねっ! 歳三さんもお仕事頑張ってくださいね」
結局お人よしの歳三は、自分が仕事に行くついでに2人を駅まで送った。
「うるせぇっ! さっさと行けっ! 帰りは遅くなるんじゃねーぞ」
それだけ言うと、急いで車を出した。
「まずはどこに行きます?」
総司は、東京ガイドを開いてセイに見せた。
とても東京人とは思えないその行動に、セイはたまらず吹き出した。
「総司さん、東京の人ですよね?」
「だって、本当に詳しくないんですもん」
しゅんとしながらそういう総司に、セイは微笑んだ。
「大丈夫です! 一緒に詳しくなりましょう! じゃあ・・・」
セイは、ガイドを覗き込んだ。
「お台場から行きましょう」
2人は、電車に乗り込んだ。
「あっ 自由の女神がいる! ちっちゃーい」
セイは記念にとパシャパシャ写真を撮っている。
「あんなところに観覧車があるっ! 総司さんっ 乗りましょう!」
そう言って、セイは観覧車のほうに向かって走り出した。
その様子を総司は嬉しそうに見ていた。
あ〜、可愛いなぁ〜。
妹がいたらこんな感じなんだろうな〜。
「セイちゃん、あんまりはしゃぐと転びますよー」
総司も、はしゃいでいるセイを見て嬉しくなり追いかけた。