虹 4



「セイはどうしてる?」
仕事から帰ってきた歳三は、リビングで鼻歌を歌っている総司に尋ねた。

「あ、歳三さんお帰りなさーい♪」
「お前、鼻歌歌いながら嬉しそうに何してるんだ?」
歳三が帰った事にも気づかず、さっきから楽しそうに何やらやっている総司に疑問を感じ、総司の元へ寄ってみた。
「!!」
「これ、うまく出来たと思いませんか? まだ途中なんですけど。 富永さん喜んでくれるかなぁと思って」
総司が手に持っているのは、手作りのぬいぐるみだった。

「頑張ってここまで作ったんですよ♪ もうちょっとで出来るんですけど」
総司は嬉しそうにぬいぐるみを掲げて歳三に見せた。

「セイは何してる? 部屋にいるのか?」
見なかったことにしようと、歳三は話を変えた。

「あ、ここに来てから、疲れてたみたいですぐ寝ちゃったみたいですよ? そのまま部屋から出てきてないから多分まだ寝てるんじゃないですかね?」
「ちょっと見てくる」

歳三は、セイの部屋に来た。
久しぶりに会う事に、多少緊張している。

コンコン
部屋をノックしてみた。

「はーい」
中から声が聞こえた。
どうやらもう起きているようだ。

歳三はドアを開け中に入った。

「何だこの部屋はっ!!」
部屋を見るなり、セイとの再会がどうとかの前に、あまりにブリブリな部屋に驚愕した。

「トシ! 久しぶり!!」
セイは、久々に会う歳三に、笑顔で挨拶した。
「お、おう。 これはお前の趣味か?」
「な訳ないじゃん! 私の性格知ってるでしょ! これはトシの同居人の方が私の為に揃えてくれたんだって」
苦笑いしながら答えるセイに、歳三はさっきの総司の行動を思い出し納得した。
「・・・そうか。  腹減ってねぇか? 飯でも食いに行こうと思うんだが」
「行く行く! もうお腹ぺこぺこだったんだよね! 用意するから待ってて!」

げんなりしながら歳三はセイの部屋を出た。

「起きてました?」
リビングに戻ってきた歳三に、笑顔で総司は尋ねた。

「お前・・ 何かものすごく楽しそうだな。」
「はいっ! 何だか可愛い妹が出来たみたいで、嬉しいんですよね」
そう言って、最後の糸を歯で切った。
「わーい♪ 出来た!」
歳三は、にこにこと嬉しそうにぬいぐるみを眺めている総司を見て、小さくため息をついた。





「受験の自信はどうなんだ?」
「うん、多分大丈夫だと思うよ」
セイは、お寿司をほおばりながら答えた。

海外生活が長いセイの為に、歳三は寿司屋を選んだ。

「やっぱり外国語学科とか受けるんですか?」
「いいえ、私ずっと弁護士になるのが夢だったんです。 なので法学部を受けようと思って。 K大学とT大学を今回は受験します」
それを聞いて総司はびっくりした。
「えっ! K大学なら私と同じ大学じゃないですかっ! 土方さん知ってたんですか?」
「ああ。 最初にこいつの両親から連絡あった時に聞いてたからな」
「もう、言ってくれればいいのにぃ。 ねぇ、富永さん」
総司は嬉しそうにセイを見た。
「あははっ! K大学は一応第一志望なので、もし受かったら先輩ですね! よろしくお願いします」
可愛く頭を下げるセイを見て、総司の顔もほころぶ。
「学部は違いますが、分からないことがあれば何でも聞いてくださいね!」
「おい、まだ受かった訳じゃないだろう。 これでもし落ちたら笑えるな」
ニヤっとしながら言う歳三に、セイはムッとした顔で睨んだ。
「ホント、トシって変わってないね。」
「まぁまぁ、久しぶりに会ったんですからもっと仲良くしてくださいよぅ」
そう良いながら、総司は玉子を頬張った。

「って、沖田さんさっきから玉子しか食べてなくないですか?」
総司の前には既に10皿ほど積み上げられているが、ほとんどが玉子の皿だ。

「私、生魚って苦手なんですよね。 玉子だと甘くて美味しいでしょ♪」
嬉しそうに、また総司は玉子の皿を取った。

その様子をセイは目が点になりながら見ていた。

(沖田さんて、ちょっと変わってる人なのかも・・・)


「あっ、そうそう、富永さんにまたプレゼントがあるんですよ♪ 大学合格したら渡しますね」
「お前・・ もしかしてプレゼントってさっきの・・・」
土方は、先ほどの手作りのぬいぐるみを思い浮かべながら訪ねた。

「あーっ! 土方さんっ! それはまだ内緒ですよぅ!」
総司は慌てて土方の口に手を当てた。

「と、いう事で受験頑張ってくださいね! さ、食べて食べて! 土方さんのおごりなんですから♪」
「お前〜っ!」

「きゃはははははっ」
セイは耐え切れずに笑い出した。
「2人のやり取りおもしろーい!」

「もう、土方さんが子供だから面倒見るのが大変なんですよ〜」
「そりゃお前だろっ!」

セイはお腹を抱えて笑っている。
この2人となら、4年間うまくやっていけるかも。
セイはこれからの生活が楽しみになった。