虹 3
「この奥の主寝室が歳三さんの部屋で、ここが私の部屋。そして隣のここがあなたのお部屋になります。 一応歳三さんからの命令で鍵をつけておきましたので」
と、総司はニコニコしながら鍵をセイに渡した。
「ありがとうございます。 それで、トシは今日は何時くらいに帰って来るんですか?」
セイは鍵を受取り、部屋を開けながら訪ねた。
「さぁ? でもいつも通りなら8時くらいですかね? 夜は3人で食事に出ようと言ってましたが、大丈夫ですか?」
「はいっ 楽しみですっ」
セイは笑顔でそう答え、部屋の中へ入ろうとした。
「っ!!??」
部屋の中を見たセイは思わず絶句した。
「気に入っていただけましたか?」
総司は嬉しそうにセイを見ていった。
セイは言葉を失くし部屋の前に立ち尽くしている。
その部屋は一面ピンクだった。
カーテンもベッドカバーもカーペットも。
どぎつい色ではなく、どちらかというと柔らかい感じのピンク。
そして至る所にぬいぐるみが置いてある。
「女の子の部屋ってどういうものか分からなくて、ネットや本を見て必死に勉強しました♪」
得意げに言う総司に、セイは何も言えなくなった。
「・・・・・・・・・・ありがとうございます」
大学に合格したら、4年間この部屋に暮らす事になるのか・・・
セイは心の中で泣いていた。
「どういたしましてv」
総司はとても嬉しそうだ。
「さ、どうぞ入って入って! あ、こんなものも用意しましたよ」
と言って、ハートのクッションをセイに渡した。
「すごく嬉しいです(涙)」
絶対そのうち自分の好きな部屋に変えてみせるんだっ!
セイは心の中でそう誓った。
ピリリリリリリッ
総司の携帯が鳴った。
「あ、土方さんだっ! もしもーし? あ、どうぞ部屋に入ってゆっくりしてくださいね」
と言いながら、総司はセイの部屋から出て行った。
「はぁ〜っ」
言い人そうなんだけどな〜。 きっとどっか抜けてるんだろうな〜・・・
セイは、荷物を置きベッドを背にして座った。
8時まではまだまだ時間がある。
長旅と時差で疲れているセイは、軽く目を閉じるつもりだったのだが、いつしかそのまま眠りについてしまった。
「すみませーん、富永さーん? 入っても良いですか?」
しばらくして総司が部屋に戻ってきた。
しかし疲れて眠りこんでしまったセイは起きない。
返事がないことを不安に思って、総司はそおっとドアを開けて中に入ってみた。
「あ、寝てる・・ こんな格好で寝たら肩凝っちゃいますよ?」
総司は起さないように、そぉっとセイを抱き上げてベッドに寝かせた。
「可愛いなぁ〜っ 妹がいたらこんな感じだったのかなぁ?」
ふふっと笑いながら、セイの寝顔を見ていた。
一人っ子の総司は、兄弟がおらず歳三を兄のように慕っていた。
そして、今日会ったばかりのセイのことを、既に妹のように感じていた。