未来への地図 12


「んん・・」
2、3度瞬きして、まぶしそうにセイはゆっくりと目を開いた。

あれ?
天井がいつもの病室と違う。
真っ白で無機質だった部屋から、新しい家具に囲まれた部屋に変わっている。

起き上がると、隣ですーすーと寝息を立てて寝ている総司がいた。

「えぇっ!?」

驚いて思わず声を上げたセイだったが、自分が何も着ていない事に気づき、更にびっくりする。
徐々に冴えてきた頭で、昨日何があったのかを思い出した。

そうだった・・・

昨夜の事を思い出し、セイは顔を真っ赤にした。

うわぁっ!! 昨日私ったら総司さんと・・・っ!

セイが1人あたふたとしている横で、総司が身じろぎをした。

「あ・・」
セイは慌てて布団を胸の上まで引き上げた。

「ん〜・・  セイ〜?」
「はっ はいっ!!」
眠そうにゴシゴシと目をこすりながら総司がセイを見た。

セイは恥ずかしくて固まったまま、どうして良いか分からずにいた。

漸く目を開いた総司は、セイの顔を見てにっこりと微笑んだ。

「おはよう、セイ」
「おはようございます・・」
真っ赤になったまま、総司を見下ろしているセイに、総司はおかしそうにぷっと笑った。

「セイ、どうしたんです?」
「いえっ」
セイはあまりの恥ずかしさに、布団を持っている手にギュッと力を入れた。

「こっちへいらっしゃい」
そう言って、総司はセイの手を引いて自分の腕の中に引き寄せた。

腕の中で、セイは固まってしまった。

「朝目が覚めた時にセイがいるって、とても幸せな事ですね」
ぎゅっとセイを抱きしめながら、総司は囁いた。

「今更聞くのもなんですが・・・ 嫌じゃなかったですか?」
「えっ?」
「えーと・・ その・・・ 昨日の・・」
そう言われ昨日の事をまた思い出したセイは、あまりの恥ずかしさに返事をすることが出来なかった。

「すみません、本当はもっと待つつもりだったのに・・ 」
声のトーンで落ち込んでいるのが分かる。
「そ、総司さん・・」
「せっかく部屋を別にしたのに・・・ 本当にごめんなさい。 今晩からはちゃんと部屋を別にしますから」
セイはばっと顔を上げて総司を見た。
「えっ?」
「総司さん!」
「は、はいっ!」
「私・・ 嫌ではありませんでした・・  それに、何だか懐かしいような感じがしました」
総司と肌を合わせた時、総司の体に触れるたびに自分の体がこの体を知っていると教えてくれた。
頭では覚えていなくとも、体が覚えていたのだ。
「本当ですか?」
「はい。 だから、その・・」
セイは上目遣いに総司を見た。
「・・・一緒のお部屋が良い・・です・・」
セイの言葉に、総司は嬉しそうににっこりと微笑んだ。
「大歓迎です」
総司は、セイの頬を片手で撫でながらそっと口付けた。

「ふふっ 今日はお休みもらってるので、ゆっくりしましょうね」
2人は抱き合ったまま、また眠りの世界に入っていった。




Trrrrrrrrrr
「ん・・ 電話・・・」
電話の音で、セイは目を覚ました。
サイドテーブルに置いてある電話の受話器をとる。
「はい・・・・沖田・・です」
思わずとってしまったのだが、何と名乗っていいのか分からず、一瞬戸惑ってしまった。

「セイ? 私です」
母親のリンだった。
「あ、お母さん」
セイは、母親からの電話に飛び起きた。
「近くに来てるんだけど、これからもし良かったらお家に寄らせてもらっても良いかしら?」
「えっ!? ちょ、ちょっと待って!」
そういうと、保留にして総司を叩き起こした。


電話を切り時計を見ると、既に12時を回っている。
あと10分ほどで到着するというリンに、2人は急いで支度をする。
「総司さん、寝癖がひどいです」
「本当ですか? うわ〜、初日からこんなダラしない生活してるのお母さんに見られたら、同棲なんて許してもらえないですね」
総司は慌てて洗面所へ向かった。
セイは、その様子を見てぷっと吹き出した。

ピンポーン♪

インターフォンが鳴り、セイはリンを迎える為玄関へ向かった。